INTERVIEW

土居博通|HIROMICHI DOI   GumGum Japan / Sales Director 土居博通|HIROMICHI DOI   GumGum Japan / Sales Director

Q1. 自己紹介と、御社のサービスについて簡単にご説明をお願いします。

GumGumは2008年米国カリフォルニアで設立され、現在、北米、欧州、アジアパシフィックを中心にグローバルでサービスを提供しています。日本でも2017年からサービスを展開しており、私は2019年7月に入社、現在はセールスディレクターとして、大手広告代理店などを担当しています。

GumGum が設立された背景には、Webサイトに対するユーザーのストレスがありました。
「自分に興味がない広告が頻繁に表示される」など、クッキーや個人情報を使ったオーディエンスターゲティング技術に疑問を唱える声が強くなるなか、GumGumはAIを活用した独自の技術で精度の高い、「コンテキスト・ターゲティング広告」を配信するサービスの提供を始めました。
コンテキスト・ターゲティング広告とは、Webサイトにあるコンテンツの文脈(コンテキスト)を読み取り、文脈に沿った広告を表示するもの。当社は、「画像認識」と「自然言語処理」という2つの技術により、Webサイト内の画像、音声、文字を同時に解析するという独自技術を活用しつつ、リッチな広告クリエイティブを実現しています。
また2021年には広告アテンション測定・最適化プラットフォーム「Playground XYZ」を買収。これにより、「コンテキストターゲティング」「クリエイティブ」「アテンション測定」を一括してご提供できるようになりました。
gumgum Japan

Q2. 日本での事業展開について、ご説明をお願いします。

日本市場でサービスを開始して以降、飲料や飲食、IT関連、金融、製薬という4つの業種のお客様に長く当社のサービスを活用いただいており、最近ではこれに自動車業界も加わりました。アフターコロナという時代の特性を考えると、今後はビューティ、ラグジュアリー、トラベルといった業種の企業様からの引き合いも多くなるのではと推測しています。

「Playground XYZ」の買収により、当社は2023年より、GumGum広告プラットフォームで実施されるすべてのディスプレイ広告キャンペーンにおいて、アテンションタイムの測定および最適化の機能を導入します。「アテンションタイム」は、日本ではまだ耳慣れない言葉ですが、欧米では1〜2年前から非常に注目を集めている、オンライン広告の指標です。
「アテンションタイム」と比較されるものに「ビューアビリティ」があります。これは実際に掲載されたWeb広告のうち、ユーザーが閲覧できる状態にあった広告の割合のこと。具体的には、動画の場合2秒以上、静止画の場合1秒以上表示されていれば「ユーザーに視認されただろう」と考えるのですが、たとえ画面の前にユーザーがいなかったとしても、広告が表示されれば良いので、いまひとつ信頼に欠けるところがありました。
しかし当社が提供する「アテンションタイム」は、視線追跡パネルデータと高度なAIを融合することで、広告が実際ユーザーに見られた時間をリアルタイムで計測。これにより、ユーザーがその広告にどれだけ興味関心を示しているかを正確に測定できるようになりました。第三者機関による調査でも、「画面の前でユーザーが広告を見た時間」と「アテンションタイム」は96%正確であるという結果が出ており、この機能を導入することで、適切なコンテクストへ適切なクリエイティブを配信できているかということのフィードバックにもつながります。

国内での事例を2つご紹介させていただきます。
一つ目は、機能性乳酸菌飲料を取り扱うクライアント様。毎年10〜12月、空気が乾燥して体調を崩しやすい時期にキャンペーンを実施されており、昨年も展開しました。クライアント様の目的は、「乳酸菌にはどのような機能があり、人体にどんな作用があるのかをユーザーに理解してほしい」ということ。当社だけでなく、インストリーム動画広告やディスプレイ広告なども展開されていますが、10月から12月まで毎月1回、第三者機関によるブランドリフト調査を行ったところ、広告の主目的である「機能認知」「機能理解」について唯一、リフトしているのは当社の広告だけでした。この結果を得て、次期のキャンペーンでは当社単独で展開されるなど、当社のコンテクスチュアル広告を高く評価してくださっています。
ちなみにこちらのケースでは、「風邪のひきはじめにどんな食べ物を食べたら良いのか?」というコンテクストに加え、10〜12月という時期柄、受験関連のコンテンツもターゲットとして設定させていただきました。

二つ目は携帯電話のキャリア様。「乗り換え検討層にコンテクスチュアル広告を当てたい」ということで、2022年5月から毎月1回、キャンペーンを実施されています。「自社のサイトに接触したユーザーが、7日以内にどれだけサイトに戻ってきて申し込みをしているか」を計測させていただき、他社様の展開する広告と結果を比較したところ、サイトに再びアクセスし、申し込みをしたユーザーの比率は、当社の広告が最多でした。初回サイトにアクセスしたときはまだ気持ちに迷いがあったものの、当社の広告に触れたことでニーズが顕在化されたことにより数日後にサイトへ回帰し、契約に至ったのではないかと分析しています。
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Q3. 今後の事業展開について教えてください。

従来、「欧米で一般的なマーケティング手法は3〜5年遅れて、日本でも普及する」と言われています。その一方、「欧米に比べ、日本はブランドセーフティに対する意識が浸透していないため、同じ手法が普及するのは難しい」という意見もあります。確かにどちらの意見も正しく、未来を正確に予測することは困難ですが、ただひとつ言えるのは、現在デジタルマーケティングにおいてよく行われている、サードパーティークッキーを使ったオーディエンスターゲティングやリマーケティング広告のように、大量に広告を出稿し、安価にクリックを稼ぐような「数を打てば当たる」というスタイルでユーザーを呼び込み、何らかのアクションをさせていく広告手法は今後、減っていくのではないかということです。

今後デジタルマーケティングを行う上では、コンテクスチュアル広告は重要な広告手法になります。現在、CTB分析やインゲーム広告、メタバースなど新しいプロダクトが注目を集めていますが、今後はこれらをどう活用して広告を配信し、ユーザーの行動を変容していくのかが重要になるのではと思います。
現在、企業様から「サードパーティクッキーに対する規制が強化されているため、リマーケティングに変わる代替手段を探したい」「これまでのデジタルマーケティングのやり方を変えない形で、代替する手段を探している」とご相談を受けることが多いのですが、私自身は「もう少し視点を変え、代替手段を探すのではなく、デジタルマーケティングとしてのコミュニケーションのあり方そのものを変えませんか」とご提案しています。これまでと違う、新しいデジタルマーケティングの取り組みとして当社がお手伝いできる領域も多いと思いますし、そこに価値を感じていただける企業様と、今後ご一緒できればと考えています。

PROFILE

土居博通|HIROMICHI DOI GumGum Japan / Sales Director
土居博通|HIROMICHI DOI
GumGum Japan / Sales Director
通信業界、金融業界、広告代理店と幅広い業界でセールスを経験、2019年7月よりGumGumに参画し、国内大手代理店の成長に貢献、現在はセールスディレクターとして国内/海外の代理店セールスをリード。